インタビュー

できる範囲でなりわいを楽しむ 鮭川村での暮らし
鮭川村大字中渡 農家民宿 はる風 荒木 末治さん

PROFILE/農家民宿 はる風 荒木 末治さん

1947年、戸沢村生まれ。
結婚を機に奥様の故郷鮭川村に住む。
土木建設業会社役員を引退したのち、令和2年に「農家民宿 はる風」をオープン。
現在は、主に昼食を提供することをメインにしており、自家栽培の無農薬野菜や地域食材をふんだんに使ったボリューム満点の田舎料理が人気を呼んでいます。
宿泊は1日1組限定なのでのんびりとできるほか、四季を通して農家体験も楽しむことができます。
夫婦が育てる色とりどりの立派なダリアは鮭川村でも有名で、季節になると多くの人がダリアを見に訪れます。

「農家民宿 はる風」を営む荒木さんご夫婦にお話いただきました。

お庭のダリアが本当に立派ですね。
畑も様々な野菜を植えていますが、ご夫婦で一緒に育てているのですか。

花は私で、野菜はお母さん(奥様)が担当しています。
ダリアは、おばあちゃんが好きで植えていて、私もダリアは咲く期間が長いからいいなと思って。
今では150本ものダリアを育てています。
野菜は一般的なものから、「おかわかめ(葉物)」や「もものすけ(かぶ)」などちょっと珍しいものまで多種類の野菜を自家栽培しています。
冬は、甘みが増す雪下野菜のキャベツなどですね。

鮭川村で農家民宿をはじめたきっかけを教えてください。

お隣戸沢村の教育旅行のお手伝いで、県外の中学生の分宿受入れをしたのがきっかけです。
庭にある竹を切って流しそうめんをしたり、残った竹で鉛筆立て作り体験をしたりと、何回か受入れを行いましたが、いずれもいい思い出です。
帰るころには涙を流す子もいてね、しばらくして家族でまた会いに来てくれる子なんかもいました。
そんなことから、私たち夫婦は二人とも人が好きだし、交流するのが楽しいなと思って、「民宿でもやってみようか!」という話になりました。

農家民宿を始めて、よかったことや大変なことはなんですか。

大変なことは特にないですね。
楽しい思い出ばかりだな~。
中学生には、春の時期はわらびを収穫して出荷まで経験してもらいます。
子どもたちの生き生きした姿を見ると、やってよかったなって思います。
また、色々なお客様がいて、その方々の話を聞くのも楽しいです。

なりわいで大切にしていること、心がけていることはなんですか。

お客様に喜んでいただくのはもちろんですが、なにより自分たちが楽しむことが一番ですね。
お客様との出会いも大切に考えています。

地域食材を使ったメニューはどのようにして決めていますか。

メニューはひらめきです。
旬の野菜を見て、こんな料理はどうかとアイデアを膨らませて創作します。試作メニューは、娘など家族に食べてもらっておいしいと評価をもらったらお客様に出します。
「大根おろしハンバーグ」もオリジナルメニューのひとつで、大根おろしは適度に水分を絞って、舞茸などのきのこを入れて丸めて通常のハンバーグのように油で両面をこんがり焼きます。お客様に合わせて、味付けしたひき肉を混ぜて作ったり、ハンバーグのソースもあんかけの時もあれば、ポン酢でさっぱりの時もあったりします。
お客様から作り方を教えてとよく言われますが、メニューの一つでもある銀鮭の味付けについては誰にも教えられない企業秘密です(笑)


ボリュームたっぷりの昼食

これまで受入れしたお客様の中で、思い出に残っていることはありますか。

(奥様)オープンして間もない頃に、小杉の大杉(トトロの木)を訪れた県外の女性の方5名が、通り道で我が家のダリアに気づいていらっしゃったことがありまして。
その時は、お茶をお出しして、ダリアも差し上げました。
少ししてから、その5名の方が泊まりに来てくださって、たくさんのお土産を持ってきてくださったのでびっくりしたことと、笑い転げるほどの面白い話で盛り上がったことが思い出に残っています。
お泊りに来たお客様から「話に混ざって」と言われるので、お客様のお話を聞くこともしばしばあります。

これからやってみたいこと、目標をお聞かせください。

出来る範囲で、自分たちが80歳になる頃まではこの民宿業をやりたいと思っています。あと5年くらいかな(笑)
娘もここがもったいないっていうのでね。
それから、新しく見つけた品種などの野菜があれば、挑戦して栽培していきたいと思っています。

鮭川村のPRをお願いします。

自然が多いところがいいなと思います。
また、地域の結びつきも大事にしている方が多いです。
東北で3番目にきれいと言われている鮭川があり、鮭や鮎、モクズガニなども捕れます。 小杉の大杉や最上三十三観音、羽根沢温泉は多くの方が訪れます。